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地獄のニューギニア探検後、一週間経って脚がはれてきたところまでは前回報告したが、その後に38度9分の発熱があり、2日ほどなんともなくてまた38度以上の熱がでた。これはマラリアの可能性がある!しかも、脚の腫れはひどくなるばかりだ。トホホホ・・・

・・・というわけで、全身なにやら苦しくなってきたので、近くの医院に行き、感染症を検出するための血液検査をしていただいた。すると、炎症値が通常の10倍にもなっている。あわてて慈恵医大で詳しい検査をお願いした。それでもよくわからないので、血液を培養して菌やウイルスの有無を調べることになった。これから答えが出るまで一週間のあいだに、身辺整理してブログも書き込んでおかないと。

そのニューギニアで、ぼくは生物採集をしてみたかったのだ。セピック川中流から上流にわたる秘境で、生物を採集するなんていう機会は二度とないだろうから。でも、マラリア蚊とワニがうようよいるところだから、絶対に単独で行ってはいけないと現地の案内の人にいわれた。そのときふと目に映ったのが、あたりに集まっている地元の子供だった。魚と虫、なんでもいいから生かして捕ってきたらM&Mあげる、という約束で、みんなに採集を頼んだ。そうしたら夕方、たくさんの子供に取り囲まれた。みんないろんな生き物をもってきた。ヘビを取ってきた子がいるので、これはすごいと撮影の準備をしているうちに逃げられたりした。あと、山に住むきれいなカワセミを持ってきた人もいた。どうするんだ、と聞いたら、ペットにするとの答え。たしかにニューギニアの人は動物を飼うのが好きだ。泊まったホテルの庭にもちいさな動物園ができていて、卵から孵したヒクイドリと、山にいるカンムリバトが飼われていた。どちらも食糧兼ペットである。ヒクイドリは気があらくて、脚で蹴飛ばされると死ぬらしい。昔は若者が嫁をもらう場合、山にはいってヒクイドリを捕ってこないと結婚が認められなかった。新郎がヒクイドリをぶら下げて帰るまで、新婦は町外れの木の下かなんかに座って、何日も待ったのだそうだ。フウチョウも飼う人がいるが、むずかしくて長く生かせられないと聞いた。

うれしかったのは、川で「カワアナゴ」の一種を捕ってきてくれた子がいたことだ。セピック川にはかなり上流まで海水由来の魚がすみついている。でっかいサメの「ブルーシャーク」に、なんと「ノコギリエイ」もこの川で繁殖している。天然にいる魚ばかりでなく、人間が持ち込んだ魚も多い。「ボールカッター(金玉齧り)」こと南米アマゾンのピラニアが増え、同じく移入された食用魚ティラピアを食い散らかしている。川は泥どろだが、ちょうどアマゾン川とネグロ川の合流点のように、澄んだコーヒー色をした流れがぶつかるところもある。
ぼくはここでなんとか魚を採集したかったので、いきなりカワアナゴが手にはいって大喜びした。ちっちゃい雷魚みたいなやつだった。ちなみに、最終日には海岸にあるサンゴの海にも飛び込んでみた。流れが速い上に水が濁っている。だのに、少し沖へいくだけでサンゴの林がひろがっているのだ。ここで、おもしろいタイプのカクレクマノミを発見。たぶん沖縄のとは別種だろう。白い帯が乱れている。しかし、子供は水が濁っていても、どうやら魚を見分けられるらしく、あっちだ、こっちだ、と魚がいる方向を指さす。しかし、ぼくにはまったく見えない。こっちの子は、泥の川でも魚がいるかどうか見分けられるのが当たり前だ、といわれて愕然とした。みんな視力が5.0なのだそうだ!!いや、視力ばかりか聴力もすごくて、何キロも先に足音を聞いただけで、誰が帰ってくるのか即座にわかるという。じつは、聴力に関連しておもしろい事件が起こった。われわれが炎暑に倒れ、ヘリコプターで山から降ろされることになったときの話だ。機影がまったく見えないのに、みんなかすかなエンジン音を聞きつけ、いちはやくヘリの到着をわれわれに教えてくれる。一番機は、澄み渡った空のどこにも機影が見えないうちから、到着が知らされ、われわれをおどろかせた。それが競争になって、いちばんはやく聞きつけるのを争うようになった。二機目のヘリを待っていたとき、誰かが「チョッパー、来た!」と知らせた。しかし、今度はいつまで待っても空には機影があらわれない。さっきの知らせがボートのエンジン音の聞き間違いとわかって、知らせた人がみんなからものすごく責められた。ののしられた。その人は意気消沈して、いまにも川に飛び込んでしまいそうだった。きっと、聞き間違いは大恥だったのだろう。

その後も、生きものを持った子があとからあとから押し寄せた。緑色のトカゲ、ニューギニア名物の巨大ゾウムシ、かわいい緑色のイモムシ、バッタ、きれいなタマムシ、褐色のカミキリムシなどなど。トリバネアゲハを見せてくれ、と絶叫しておいたのだが、さすがにトリバネは誰ももってこなかった。みんなにM&Mを一粒ずつ手わたし、生体を撮影したあと、子供らに生きものを持って帰らせた。そうそう、マラリアを運ぶ蚊も見たいとリクエストしたのだが、蚊は捕る子がいなかった。それでも、夜になると部屋にたくさん来るので、殺虫剤をまいて殺したやつを撮影し、村びとに見せた。でも、これはマラリア蚊だ、という人と、そうじゃない、という人がばらばらで、だれも蚊の種類を見分けられなかった。あれだけマラリアに苦しんでるのに、蚊の種類をはっきり見分けてないなんて!!おかげで、ぼくはほんとに何の感染症になる可能性があるのか、今もってわからない。病院の検査結果をじっと待つだけだ。それにしても、今年は最初から、トホホ・・・、だなぁ。