2011年04月

昨日、『週刊現代』を読んでいたら、津波を受けた三陸各地の海中を撮影した一連の写真に目が釘付けになった。海が濁り、生きものの気配もなく、おびただしい陸上の残骸が沈んでいる。
 
イメージ 4海藻も魚も全くなくなり、いたるところに貝の殻がころがっているという。しかし、記事を読んだら、宮古港の防波堤の真下で、わずか3cmにしかならないかわいい魚、ダンゴウオが鉄板の上に生きていた、と報告されていた。あまりにか弱く、小さいので、「冬の海のアイドル」と呼ばれる魚が生き延びていたのだ。
 
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思わずうれしくなり、この記事に出てくる写真家の名前をみたら、なんと、知り合いの鍵井靖章さんだった。普段、南の海で一緒にダイビングしている人だが、こういう災害の海の現状も切り取ってくれたとは。
 
イメージ 2それにしても、ダンゴウオがよくぞ大津波に耐えてくれたものだ。ちょうど今年の2月、夜中の干潮どきに長靴はいて海へ入り、海藻の上に乗っている小さなダンゴウオを懐中電灯で照らして発見し、大事に飼育中だったから、余計にうれしかった。この魚、海藻がちょっと揺れただけで下に落ちるし、泳ぎもうまくない。しかし、お腹に大きな吸盤があり、これでガラス面に吸い付くと、吸盤を軸にして体を360度回転できるのだ。まるでネジみたいな、信じがたい特技を実際に目撃して、ただただビックリした。
 
アラマタは三陸の海がもとの豊かな海に戻り、漁業ができるようになる未来を確信する。こんなちいさなダンゴウオも生きているのだから。
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震災に遭われた東日本、とりわけ近年さまざまな取材にご協力いただいた岩手県のみなさまへ、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く復興されんことを。
 
さて、ほんらい315日から58日まで横浜中華街の「よしもとおもしろ水族館」で開催する予定でありました「NO-UMA展~~未確認動物はここで確認できる~~」ですが、やはり震災の影響から免れがたく、大幅に遅れて319日にオープンとなりました。58日まで予定どおり開催しております。春のビックリ感度をアップさせる展示ですので、どうかご覧ください。
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夜を徹して行われるはずだった作業も急遽中止、電車が止まったため、学生さんたちは帰宅できなくなりました。以後の飾り付けは、学生さんたちを危険にさらせないため、水族館スタッフの皆さんが手分けして代行し、なんとか4日遅れの19日にひっそりと開催にこぎつけることができました。学生さんたち、ほんとうに頑張っていただき、ありがとうございました。
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イメージ 8この企画は、手持ちの人造怪物ジェニー・ハニヴァーやフィージー人魚、そして日本唯一の幻想動物創作家、江本創さんの作品などを中心に、「黒カーテンの部屋」に幻想、架空動物がたくさん展示されています。しかも、この企画を水族館で開いた動機もはっきりしています。18世紀の有名な彩色魚類図鑑「ルナールのマルッカ諸島海域珍奇生物図鑑」に出てくる魚類を実物で確認しようという試みだからです。イメージ 9
 
 
18世紀にルナールの図鑑が出版されたとき、ヨーロッパの博学物学者の多くは、その図のあまりに珍奇で美麗なイメージに驚き、実物写生でなく空想の産物だと信じました。ところが、現代の目から見ると、これらのイメージが極端に幻想的に見えても、当時の画家たちが真剣に精写した結果だと確認できます。なぜなら、そこに描きだされた幻想的な図はほとんどが「種まで同定できる本格的な博物画」でもあるからです。つまり、インド洋にすむ生物そのものが北イメージ 10の人々には架空にしか思えない姿かたちをしていたというわけです。イメージ 2
 
そういうわけで、地球探検の「大博物学時代」は、彼方から伝えられてくる生き物情報が、ホントかウソか、まだよく分からない「半信半疑」の時代でした。だからこそ、人魚やドラゴン、河童などの幻想生物も実在すると考えられ、実際に標本や写生図が残されたのです。そうしたUMA(ユーマ)を仕訳するおもしろさを再現するために、今回の企画はさまざまな人たちの英知をお借りしながら準備されました。
 
イメージ 3館内ではルナールの図鑑の絵と実物とを、たくさんの水槽で比較できます。そして、実物を探し出すスタンプラリーも楽しめます。そして、忘れてはいけない! 「ほんもの(?)の人魚の標本」などが展示されている黒カーテンの中の秘密部屋も、おっかなびっくり覗いてください。あっとおどろく標本があって、これなら18世紀の人が本物と判定したのも当然だと納得いただける怪生物の「実物」も飾られています。黒カーテン部屋は水族館の中ほどにわざと隠すように設置してありますので、パスしないでくださいね。
 
イメージ 4これら不思議な標本と展示デザインを手がけたのは、日本大学芸術学部の学生さんたちです。いまや、世の中のデザインワークの一環を担っている大学生の力がここでも発揮されました。じつは、問題のルナールの図鑑を大きな看板に造形したものを水族館の入り口に掲げる予定でした。18世紀の図鑑の中に描かれた幻想的な生き物が、本を逃げ出してこの水族館に住み着いた、という設定でしたが、これも学生さんのアイデアでした。しかし、企画展の飾り付けをするために日大の学生さんが水族館に結集し、作業をしていたのが311日だったのです。
 
 
予定では、大看板とともに飾り付けられるはずだったルナールの絵や原本のコピーなども、結局飾れず、最小限の貼り付けにとどまりました。華々しく開かれる予定だった「オープン記念の記者会見」も、話題のスリムクラブが出演してくださるはずが、流れました。イメージ 5
 
それでも、この不思議な展示会はできるかぎりの知恵と汗をしぼって、手作りで実現いたしました。ツチノコの情報ボードもあります。ゴールデンウィークが終わる58日まで、よしもとおもしろ水族館で開催されています。場所は横浜中華街ですので、行楽がてらぜひ立ち寄ってみてください。この水族館、一見するとファミリー向けですが、じつはかなり本格的な博物学系水族館でもあり、よしもとらしいギャグ満載の展示のほかにも、水族館マニアを唸らせるような生きものや展示手法が秘められています。
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よしもとおもしろ水族館

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