正月3日、国立劇場で尾上菊五郎さんの『旭輝黄金鯱(あさひにかがやく金のシャチホコ)』を鑑賞した。凧に乗って名古屋城の金の鯱を盗む大盗賊、柿木金助がすごい。宙乗りで客席を斜めに横切り、これまた客席に突き出た天主閣に着地するのだ。そして、金鯱のまたがった金助は、ふたたび空に消えるのだが、お楽しみはこのあとも盛りだくさんだった。ほんとうの水を使った池で、生きた鯱を捕らえる「鯱つかみ」に度肝を抜かれた。
並木五瓶の原作を大胆にアレンジしたというストーリーも、傑作だ。尾張藩を乗っ取ろうとする悪だくみの複雑なからみあいがおもしろく、主役の一人を演じる菊之助丈の艶やかな色気もいい。市村萬次郎さんも、三谷幸喜の『マジックアワー』で会計係の怪演を拝見して以来のおめもじだ。
だが、圧巻というか、驚きのピークは、金助が演じる怪しげな「金鯱観世音」出現の場面だ。伊勢の恩師の家で、信者を集めて観世音のご開帳となるのだが、ご本尊が立体写真のように出現し、千手をみごとに動かしながら、EXILEの「choo choo train」を披露。ご本家の中国障害者芸術団の千手観音も顔負けの完成度の高い至芸を見せる。そして、締めの台詞が、「まねきねこダック!」と来る。これには、レーシックしたばかり、病み上がりの我が眼玉も、ぎょっとばかりに飛び出した。菊五郎さんの「北千住観音」はすでにして名人芸の域に達している。
ほんとに、名古屋開府四百年を記念するかのような、この奇想天外な大作を、よくぞ一世紀ぶりに復活させてくださった!あまりのおもしろさに、おっとり刀で河村市長と菊五郎丈の楽屋に押しかけ、名古屋でも公演してくださいとお願いした。
写真カバー 尾上菊五郎さんの楽屋で河村名古屋市長と。
写真1 『旭輝黄金鯱』のチラシ
写真2 国立劇場にやってきたはち丸くん
並木五瓶の原作を大胆にアレンジしたというストーリーも、傑作だ。尾張藩を乗っ取ろうとする悪だくみの複雑なからみあいがおもしろく、主役の一人を演じる菊之助丈の艶やかな色気もいい。市村萬次郎さんも、三谷幸喜の『マジックアワー』で会計係の怪演を拝見して以来のおめもじだ。
だが、圧巻というか、驚きのピークは、金助が演じる怪しげな「金鯱観世音」出現の場面だ。伊勢の恩師の家で、信者を集めて観世音のご開帳となるのだが、ご本尊が立体写真のように出現し、千手をみごとに動かしながら、EXILEの「choo choo train」を披露。ご本家の中国障害者芸術団の千手観音も顔負けの完成度の高い至芸を見せる。そして、締めの台詞が、「まねきねこダック!」と来る。これには、レーシックしたばかり、病み上がりの我が眼玉も、ぎょっとばかりに飛び出した。菊五郎さんの「北千住観音」はすでにして名人芸の域に達している。
ほんとに、名古屋開府四百年を記念するかのような、この奇想天外な大作を、よくぞ一世紀ぶりに復活させてくださった!あまりのおもしろさに、おっとり刀で河村市長と菊五郎丈の楽屋に押しかけ、名古屋でも公演してくださいとお願いした。
写真カバー 尾上菊五郎さんの楽屋で河村名古屋市長と。
写真1 『旭輝黄金鯱』のチラシ
写真2 国立劇場にやってきたはち丸くん