皆既日食フィーバーの興奮さめやらぬ日本列島だが、行ってきました、アラマタも。ホノルルから飛鳥Ⅱに乗船。船上での皆既日食観察の報告だ。
7/12サンフランシスコから到着する飛鳥Ⅱの入港を待って乗船。13日ホノルル出港、横浜入港が24日。通常は中7日だが、今年は小笠原付近で日食観察があるため2日長い中9日となる。計算が合わないのは、日付変更線があって7月17日が消滅するからだ。世界一周クルーズは、横浜から西へ西へと地球を一週廻って横浜にもどるまで、1時間、あるいは30分と時計を遅らせる作業を続けてきたため、1日25時間の日や、24.5時間の日などが20数回あってその帳尻をここで合わせる。
日食本番の22日を前に、数日に渡ってプロカメラマン青木勝さんによる写真教室や、星のエキスパートIさんによる日食観察の仕方の講義が開かれた。船室に日食観察グラスが配られると、船内はいやおうなくエクリプスフィーバーに包まれる。天気予報はあまり良くない。船内を歩けば、必ずお客さんに天気はだいじょうぶか、ときかれる船長は、天気図を見ながら雲の無い海域へ移動するとのことだが、心なしか、顔色が悪いような・・・・?
22日朝、目覚めるとすぐにカーテンを開けて天気を確認。晴れてる!!!しかもベタ凪!!やったね、船長!!正確な時間は計算できないが、11時ごろから太陽が欠け始め、12:23ぐらいに皆既状態になり6分40秒ぐらい続くというアナウンスがあった。皆既状態になるまでは絶対に肉眼で太陽を見てはいけないとの注意が、再三再四繰り返される。南中高度が86度で、ほぼ真上を見上げる格好になりそうだというので、デッキチェアの確保に走るひとや、デッキ上にタオルを敷いて、花見の場所取りのようなひとも。
11時過ぎ、11デッキ、12デッキに人が集まり始める。気温30度だが、体感気温はもっと高い。上の階に集まっているのは、事前の説明会でIさんが話していた“シャドウバンド”をみな期待しているのだ。太陽が月に完全に隠れる皆既状態の直前と直後に西の方から黒い闇(シャドウバンド)が秒速580mでやってくるのが見えるという。これはめったにみられる現象ではない。今回は期待できそうだというので、アラマタがカメラ担当、マネージャーはデジカメの動画でシャドウバンドを撮影することになった。
太陽が上の方から欠けはじめました。11デッキ前方でIさんがマイクで説明している。日食グラスを通して太陽を見上げると、確かに欠けている。ゆっくりとゆっくりと月が太陽を覆っていく。太陽の力はまったく衰えず、焦げている感がある。皆既になるまであと1時間以上ある。10分もするとお客さん達は飽きてしまい、北硫黄島あたりから追いてきたカツオドリのトビウオ漁に興じはじめた。おもしろいことにカツオドリ派とトビウオ派に自然に分かれ、それ逃げろだの、やれ急げだのと大騒ぎになっている。一旦部屋に戻った人もいて、ちょっと間延びした感じになった。
11:50頃 半分ぐらいに欠けて、暑さがやわらいで風が涼しくなった。
12:10ごろには、あたりが薄暗くなり、水平線が夕焼けのようなオレンジ色に変わってきた。しかもそれが360度だから凄い!
12:26 皆既日食始まる。「日食グラスをはずして結構です」とアナウンスがあり、肉眼で観察。これからはわれわれのデジカメでも撮影可能になった。光量が少ないので、シャッターが下りるのに時間がかかり手振れして失敗の連続。サウロンの眼のようなネコ目写真になってしまった。鳥や魚が騒いだり、異常な行動をとることはなかった。太陽観察に夢中になって忘れていたけれど、皆既の6分40秒の間、あのカツオドリたちはどうしていたのだろうか。
12:32 月の影から太陽が顔を出し、ダイヤモンドリング。一瞬顔を出した途端、闇がすーっと引いていった。太陽のエネルギーのものすごさを実感。この少し前から、肉眼で見るのはやめてください、のアナウンスがさかんに流れる。空を見ずにストップウオッチを見続けていたタイムキーパーに感謝したい。
結局、シャドウバンドは見えなかった。海が暗いので分かりにくかったのでは?というおおかたの意見。
このあと延々と13:52まで天体ショーは続いたが、ランチタイムが13:30までなので13時ごろにはすっかり人もはけて、最後まで残っていたのは、日食マニアやプロカメラマンだけだった。アラマタは、カツオドリとトビウオのバトルをなんとか写真に収めようと、もっと海面に近い7デッキへと移動。世紀のトータルエクリプス体験は終了した。
☆ ギネス申請か?
一隻の船でこれだけ多くの人間が同時に皆既日食観察をした記録は、まだ無いそうで、ギネス申請するとか、しないとか・・・。アラマタは図らずもギネス記録参加者となるのか?!楽しみだ。ただ、来年7月にクック諸島で皆既日食が見られるので、タヒチあたりから大型客船が記録更新してしまう可能性はあるなァ。
写真カバー ネコ目になってしまった皆既日食 ロード・オブ・ザ・リングのサウロンの眼のようだ。 撮影アラマタ
写真1 準備万端
写真2 プロカメラマン青木勝さんによる皆既日食 プロが撮るとこうなる。
写真3 青木さんのカメラと手作りフィルター 青木勝さんは、元JAL専属の航空写真家で、今回飛鳥Ⅱワールドクルーズ全区間に乗船し旅の記録を撮っていた。日食撮影には専用のフィルターが必要で、装備不十分だとレンズが壊れることもあるという。あまり日食には興味がなかったのでフィルターを準備してこなかったが、前日に船内で調達。深夜までかかって作ったフィルターがこれだ。
写真4 夕焼けのようなオレンジ色の水平線 あたりには涼しい風が吹き渡った。
写真5 カツオドリ 白い方はアホウドリかと見えたが、くちばしが違うので、シロカツオドリと判明
写真6 シロカツオドリ アホウドリのくちばしは先が丸く鈎型なっている。船に驚いて水面に飛び出したトビウオを追いかけるが、トビウオも結構早くてつかまらない。大型のトビウオは400m飛んだ記録があるそうだ。
写真7 客室に配られたアスカデイリーと日食グラス
写真8 飛鳥Ⅱの軌跡。雲の無い海域を探して移動している。ループを描いている辺りで日食観察が行われた。22日正午現在
■緯度/N25°12'
■経度/E142°09'
■天気/晴れ
■気温/30.0℃
■速度/15.1ノット
写真9 付近には別の客船3隻(パシフィックビーナス、ふじ丸、コスタクラシカ)が日食クルーズに来ていた。うち一隻はトカラ列島へ向かう予定を急遽変更してきた。写真はイタリア船のコスタ・クラシカ
写真10 本格派の方々。ホノルル~横浜間だけ乗船したお客さんも30人ぐらいいた。
7/12サンフランシスコから到着する飛鳥Ⅱの入港を待って乗船。13日ホノルル出港、横浜入港が24日。通常は中7日だが、今年は小笠原付近で日食観察があるため2日長い中9日となる。計算が合わないのは、日付変更線があって7月17日が消滅するからだ。世界一周クルーズは、横浜から西へ西へと地球を一週廻って横浜にもどるまで、1時間、あるいは30分と時計を遅らせる作業を続けてきたため、1日25時間の日や、24.5時間の日などが20数回あってその帳尻をここで合わせる。
日食本番の22日を前に、数日に渡ってプロカメラマン青木勝さんによる写真教室や、星のエキスパートIさんによる日食観察の仕方の講義が開かれた。船室に日食観察グラスが配られると、船内はいやおうなくエクリプスフィーバーに包まれる。天気予報はあまり良くない。船内を歩けば、必ずお客さんに天気はだいじょうぶか、ときかれる船長は、天気図を見ながら雲の無い海域へ移動するとのことだが、心なしか、顔色が悪いような・・・・?
22日朝、目覚めるとすぐにカーテンを開けて天気を確認。晴れてる!!!しかもベタ凪!!やったね、船長!!正確な時間は計算できないが、11時ごろから太陽が欠け始め、12:23ぐらいに皆既状態になり6分40秒ぐらい続くというアナウンスがあった。皆既状態になるまでは絶対に肉眼で太陽を見てはいけないとの注意が、再三再四繰り返される。南中高度が86度で、ほぼ真上を見上げる格好になりそうだというので、デッキチェアの確保に走るひとや、デッキ上にタオルを敷いて、花見の場所取りのようなひとも。
11時過ぎ、11デッキ、12デッキに人が集まり始める。気温30度だが、体感気温はもっと高い。上の階に集まっているのは、事前の説明会でIさんが話していた“シャドウバンド”をみな期待しているのだ。太陽が月に完全に隠れる皆既状態の直前と直後に西の方から黒い闇(シャドウバンド)が秒速580mでやってくるのが見えるという。これはめったにみられる現象ではない。今回は期待できそうだというので、アラマタがカメラ担当、マネージャーはデジカメの動画でシャドウバンドを撮影することになった。
太陽が上の方から欠けはじめました。11デッキ前方でIさんがマイクで説明している。日食グラスを通して太陽を見上げると、確かに欠けている。ゆっくりとゆっくりと月が太陽を覆っていく。太陽の力はまったく衰えず、焦げている感がある。皆既になるまであと1時間以上ある。10分もするとお客さん達は飽きてしまい、北硫黄島あたりから追いてきたカツオドリのトビウオ漁に興じはじめた。おもしろいことにカツオドリ派とトビウオ派に自然に分かれ、それ逃げろだの、やれ急げだのと大騒ぎになっている。一旦部屋に戻った人もいて、ちょっと間延びした感じになった。
11:50頃 半分ぐらいに欠けて、暑さがやわらいで風が涼しくなった。
12:10ごろには、あたりが薄暗くなり、水平線が夕焼けのようなオレンジ色に変わってきた。しかもそれが360度だから凄い!
12:26 皆既日食始まる。「日食グラスをはずして結構です」とアナウンスがあり、肉眼で観察。これからはわれわれのデジカメでも撮影可能になった。光量が少ないので、シャッターが下りるのに時間がかかり手振れして失敗の連続。サウロンの眼のようなネコ目写真になってしまった。鳥や魚が騒いだり、異常な行動をとることはなかった。太陽観察に夢中になって忘れていたけれど、皆既の6分40秒の間、あのカツオドリたちはどうしていたのだろうか。
12:32 月の影から太陽が顔を出し、ダイヤモンドリング。一瞬顔を出した途端、闇がすーっと引いていった。太陽のエネルギーのものすごさを実感。この少し前から、肉眼で見るのはやめてください、のアナウンスがさかんに流れる。空を見ずにストップウオッチを見続けていたタイムキーパーに感謝したい。
結局、シャドウバンドは見えなかった。海が暗いので分かりにくかったのでは?というおおかたの意見。
このあと延々と13:52まで天体ショーは続いたが、ランチタイムが13:30までなので13時ごろにはすっかり人もはけて、最後まで残っていたのは、日食マニアやプロカメラマンだけだった。アラマタは、カツオドリとトビウオのバトルをなんとか写真に収めようと、もっと海面に近い7デッキへと移動。世紀のトータルエクリプス体験は終了した。
☆ ギネス申請か?
一隻の船でこれだけ多くの人間が同時に皆既日食観察をした記録は、まだ無いそうで、ギネス申請するとか、しないとか・・・。アラマタは図らずもギネス記録参加者となるのか?!楽しみだ。ただ、来年7月にクック諸島で皆既日食が見られるので、タヒチあたりから大型客船が記録更新してしまう可能性はあるなァ。
写真カバー ネコ目になってしまった皆既日食 ロード・オブ・ザ・リングのサウロンの眼のようだ。 撮影アラマタ
写真1 準備万端
写真2 プロカメラマン青木勝さんによる皆既日食 プロが撮るとこうなる。
写真3 青木さんのカメラと手作りフィルター 青木勝さんは、元JAL専属の航空写真家で、今回飛鳥Ⅱワールドクルーズ全区間に乗船し旅の記録を撮っていた。日食撮影には専用のフィルターが必要で、装備不十分だとレンズが壊れることもあるという。あまり日食には興味がなかったのでフィルターを準備してこなかったが、前日に船内で調達。深夜までかかって作ったフィルターがこれだ。
写真4 夕焼けのようなオレンジ色の水平線 あたりには涼しい風が吹き渡った。
写真5 カツオドリ 白い方はアホウドリかと見えたが、くちばしが違うので、シロカツオドリと判明
写真6 シロカツオドリ アホウドリのくちばしは先が丸く鈎型なっている。船に驚いて水面に飛び出したトビウオを追いかけるが、トビウオも結構早くてつかまらない。大型のトビウオは400m飛んだ記録があるそうだ。
写真7 客室に配られたアスカデイリーと日食グラス
写真8 飛鳥Ⅱの軌跡。雲の無い海域を探して移動している。ループを描いている辺りで日食観察が行われた。22日正午現在
■緯度/N25°12'
■経度/E142°09'
■天気/晴れ
■気温/30.0℃
■速度/15.1ノット
写真9 付近には別の客船3隻(パシフィックビーナス、ふじ丸、コスタクラシカ)が日食クルーズに来ていた。うち一隻はトカラ列島へ向かう予定を急遽変更してきた。写真はイタリア船のコスタ・クラシカ
写真10 本格派の方々。ホノルル~横浜間だけ乗船したお客さんも30人ぐらいいた。