2006年10月

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もう一年前になるが、群馬自然史博物館でひらいた「ヴンダーカマー展」に、日大芸術学部の学生のつくった「キマエラ(人工合成動物)」が多数出品され、入り口を飾った。

そのなかに、鄭秀泳(ジョン・スヨン)君という韓国の人がつくった「1000年後の三匹の子豚」という不思議な作品があった。長さが1.5メートルほどある大作で、主に紙を素材として製作されたものだった。わたしはこれがすっかり気に入り、出展後のキマエラ・オークション計画(ほんとうは会期終了後に学生の作品をオークションにかけて、市民に買ってもらう予定だった)がくずれたこともあり、この作品を購入することにした。

その後、一年はジョン君が個展などを開いたため、ずっと貸し出していたのだが、このたび我が家に運ばれてきた。ジョン君みずから大型車を運転し、ミラノに5年いたというデザイン雑誌の副編集長を務める奥さんと一緒に、作品を搬入してくれた。大きいが、持ち上げると、とても軽い。

さっそく仕事場の一隅においてもらい、改めてまぢかで作品を鑑賞した。ジョン君の説明を聞くうちに、これはほんとうに大作だと実感した。

この不思議な作品は、いわば童話『三匹の子豚』の後日談を視角化したものである。ジョン君は、童話の後日談を作品として表現せよ、という卒業課題として取り組んだそうだ。その構想は、次のようなものである・・・・

今から1000年後、三匹の子豚は頑丈な家を建てる作る技術を飛躍的に発達させたが、子豚を食べようとするオオカミだって、負けずに進化していた。子豚の長兄が未来に豚の国を構築し、地下世界に潜むオオカミ軍団から身を守るために、地面に生えた植物や樹木を生きたまま使用するエコロジーな建物を建てた。一方、次兄の子豚はそれに飽き足らず、新素材の金属でさらに頑丈なドームを製作し、国境の周辺に強力なロボットを配備した。
そして、末っ子の賢い子豚は、地上から離れて宇宙に浮かぶ未来建築の完成に挑んでいる。
しかし、そんななかでも、地下世界のオオカミは地上を攻撃する計画を極秘理に進めている。あちこちで、ロボットは襲撃されており、地価と地上を区切る地表にも、危険なほころびが生まれだしている・・・

あとのストーリーは、作品の細部を眺めながら、各自で想像してみると楽しい。まさに、神が細部に宿り給う超大作である。これでも、まだ未完成の状態で、あとのディテールはおいおい追加してくれるとのことだ。
部屋を暗くして、この作品に見入ること30分、なんだか「スターウォーズ」を眺めているような気分になった。

ジョン君はこれから活躍するだろう。11月には、こうしたデコレーションを多用した、おもしろいカフェを、奥さんと一緒に高田馬場でひらく予定だそうだ。また、デザイン会社も立ち上げて、韓国焼肉店の店内美術を請け負っている。楽しみだ。

ジョン君たちが帰ってから、私はしばらく闇のなかで「三匹の子豚」の未来に想像をめぐらせた。

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しばらく更新ができなかったので、いっぱい書く。ここのところ、あまりの忙しさに加え、ずっと夏風邪がひどく、仕事が進まなかった。それでもスケジュールは過酷きわまりなく、毎週、2度は旅に出なければならない。最近は関西方面での仕事が多い。話題は関西に偏るが、しかたのないことだ。

まず、ご報告だが、冷凍ミカンは東京駅新幹線キオスクの販売が9月20日をもって終了したことを確認した。これで、今年も冷凍ミカンとお別れか、とがっかりしていたら、9月24日に天橋立に行く途中、新幹線京都駅のキオスクで、4個入りの冷凍ミカンが販売されているのを発見してしまった!

思わず3袋購入。これは大阪の南松商店というところの品物だった。さすが、京都である。うれしくて、着くまでに3袋、合計12個を完食した。キオスクのおばさんに、いつまで売ってるの、と聞いたら、10月になっても売ってるでしょ、との答え。新幹線京都駅のキオスクなら今もまだ買える可能性がある。

ついでに、天橋立の話。股覗きで有名な傘松公園に行き、覗いてみたが、意外におもしろくなかった。もう歳のせいで前屈ができないのも原因していたかもしれない。でも、新発見だったのは、イナバウアーしてみるとかなり迫力がある光景になったことだった。橋立が天に上る龍に見えた。

でも、丹後でほんとうにおもしろいのは、丹後半島の先にある伊根町の舟屋群だった。天橋立からバスで行ける。ここらは海が岸からすぐに深くなっているのと、潮の満ち干がほとんどなく、嵐も来ないので、けっこう大きな船でも岸ぎりぎりまで着ける。そこで、一階が海に突き出してそのまま舟屋に使える家屋ができた。いわば、海床である。明治になって以降、ブリ景気があって立派な舟屋が建ち、いまは230件ほどが健在だ。20分ほどの観光船で海から舟屋群が眺められる。海にせり出した家が映画のセットみたいに押し合いへしあいしながら並んでいる。伊根湾がまたおそろしいほどしずかなので、じつに気持ちがよかった。

そこで、またも発見があった。海岸線を走っていたら、新井崎というところで、『徐福渡来の地』という看板があったのだ。ここらは徐福伝説があり、徐福をまつった神社もある。資料館を訪ねると、叔父さんが応対してくれたが、残念ながら、見るものや資料はなかった。おじさんが手づくりなさったというパンフレットをいただいたが、それによれば、「新大明神口碑記」という口伝があって、七代孝霊天皇の時代に、徐福がこの地を易で予知して渡来し、九節の菖蒲と黒茎の蓬を求めての渡来であった。徐福をまつる新井崎神社は崖の中腹にあって、すごい大岩が海にそびえていた。ここが徐福上陸の地だという。

そのほか、浦嶋神社も発見して、丹後半島探索は大成功。ほんとは陰陽師にからんで、さんしょう太夫(散所太夫)の屋敷跡も見学したかったが、どこかよくわからないので断念。
仕事があるので、大阪に戻った。

むろんオークション方面でも、ひどく疲労する日々となった。この秋最大のハイライトは、大学一年から収集を始め、苦節40年余、やっとあと2号(2冊)で完全そろい達成というところまで漕ぎ着けたアメリカのパルプマガジン「ウイアード・テールズ」が、どっとオークションに出たこと。このオークションの目玉は、なんといってもバローズの「ターザン」シリーズ第一回が掲載された世界最初のパルプ誌「アーゴシー」だが、超珍品なのでうわさでは4-5万ドル以上になるとの話だった。そんなもんは庶民には関係ないから、まだ入手してない「ウイアード・テールズ」2冊に絞ってビッドした。考えに考え抜いた入札である。

結果を待つこと10日、2冊すべてあんたに落ちた、と知らせがきたときには、冷蔵庫に蓄えた冷凍ミカンを解凍してお祝いしたが、そのせいで風邪がぶりかえした。

「ウイアード・テールズ」の完全そろいは、興味のない人が見ても意味がないから、写真は載せないが、たぶん(こんなバカなコレクションする人自体を含め)日本唯一だろう。ただ、ひとつだけ欠陥はあって、創刊2号だけは古い復刻だ。でも、これを創ったブラックベアードというおじいさんには、昔、ロサンジェルスに会いに行って、ものすごい量の古新聞
をみせてもらったことがある。いいおじいさんだった。あとで、日本の古いマンガ本がほしいというので、貸本屋時代の本を何冊か送ってやったら、お礼に世界初のSF雑誌「アメージング・ストーリーズ」創刊号から12冊分をくれた。そのおじいさんが手作りでこしらえた復刻なので、これでもいいいかなと思う。あのブラックベアードは、今どうしているかしら・・・

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