次回「うおのぞき」イベントに使うネタ探しに、はるばるフィリピンのセブへ行ってきました。近年、韓国や中国に出控えている日本人が、フィリピンに関心を向けたようで、セブ島も直通便が増え、行きはほぼ満席でした。
 
 ダイビングの宿は、たぶん世界でいちばん先を行く水中生物の研究者兼水中カメラマンyoshiさんが率いる「クラブ・パライソ」です。7ダイブ+1ミドナイト・ダイブと、もうひとつ、過去にやり残した大問題、ジンベエザメの観察をこなしてきました。
 
 私は二年前にいちどオスロブのジンベエザメ海岸に出かけたのですが、岸から200300メートル沖にいるジンベエザメに向かって泳いだものの、海があいにく濁っていたため、あのように巨大なジンベエザメでもみつけることができませんでした。おまけに仲間にはぐれ、海の中でひとりぼっち。いやー、海はおそろしいですね。二本目はしかたなく、カヌーに乗せてもらって水面から観察いたしました。
 
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  あまりの大きさに腰をぬかすアラマタ 
そういうわけで、「ジンベエザメを見損なったバカ」が、リベンジしたわけですが、2年前とは海岸の風景が一変、なんとリゾートも完備され、ジンベエたちもグンと岸寄りに集まっていたため、岸からエントリーして5分もあればジンベエ・スポットに着くことができました。あの56m以上ある巨体が水面に口を出して立っているんですね、真っ黒いビルのように。それが、3,4頭も並んで立っていると、まるで直立歩行する巨人のように見えます。わたしたちもつられて、海中で立ってしまいました。
 
 
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         海の中で餌を食べるジンベエザメは立っている!!
そして海中から目撃したジンベエザメの神々しい姿と美しさ。すごいと言うほかはないのですが、しかし、おどろいたことに、水面からたくさん人間の足が伸びて、ばたばたやっています。ここへ行ったら、あんまり上を見ちゃだめですよ。外人の女性客がシュノーケルでジンベエを見物している場合は、とくに危険です。見ちゃいけないものも、運悪く……とにかく異様な眺めというほかありません。その足下を、ジンベエ様が優しく避けるようにしながら泳ぎ去っていきます。野生世界で、ここまで人間とジンベエが接近している場所はないでしょう。ほとんど奇跡です。
 
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             足の間を潜り抜けるジンベエは、とても優しかった
 くわしくは、夏ごろ予定しています第二回「うおのぞき」イベントでご披露する予定ですが、私にはどうしてもよく分からない謎が二つありました。第一は、ここに集まっているジンベエザメはどこから来たのか、ということ。そして第二は、なぜジンベエがここで人間と仲良くなったのか、ということです。
 第一の問題に関しては、現在オスロブに国際研究団体が創設され、ほとんど自腹で研究を開始しています。ジンベエザメの斑紋のうち幼老を問わず形が一定している部分を標識にして、ジンベエ個体識別リストが出来つつあり、ジンベエの動きが分かるようになりました。この話を気軽に書いていいのかいけないのかよく分かりませんが、ある筋で聞いた情報によると、ジンベエザメは東西の方向には動かず、南北にしか移動しないというのです。なぜ南北なのか。はっと思ったのは地球の海底環境です。大きくて深い谷、つまり海溝は、おおむね南北に伸びています。そしてジンベエは数1001500メートルの深場で暮らしており、オスロブみたいな10mもない浅場や海面に現れるのは、ジンベエ全体の56%しかないというのです。
 
 ということは、深海にはジンベエがうようよいる?この謎の解明は、オスロブでつかまった発見史上最少の個体(全長わずか40cm!)からきっかけがつかめるようになりました。地元の人が尾に綱を付けて水面を引っぱっていた生まれたてのジンベエ・ベビーだったのです。この報告を受けた研究者も信じられぬ想いで海岸へ行ったのですが、ほんとに傷ついたベビーでした。
 「いったい、この子をだれがみつけたんだ?」と、なりますよね。しかし村びとは一言もしゃべりません。ようやく硬い口をこじ開けて真相を知ったところ、それはショッキングな話でした。どうやらお腹に仔を孕んだメスを解体したら、お腹から300ほどの仔がでてきたというのです。しかも、卵の状態から産まれる寸前の仔まで、バラエテー豊かです(ジンベエは卵胎生です)。
 
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      胸にいるのはコバンザメ、おっぱいを吸う赤ちゃんではありません
ご承知のように、ジンベエはとてもおとなしく、バカでかいこと以外には外敵から身を守るすべがありません。もし40cmの仔が生きながらえようとすれば、暗い深海でしばらく育つしか道はないでしょう。しかも、深海というのは、餌となるものがプランクトンしかありません。そして、ジンベエはあんな大きい図体なのに小さなアミ類などを主食にしています。そして、その深海部分は、地球に縦溝を作っているらしいのです。これらの断片的な情報を組み合わせてみますと……
 ちょっと光が見えてきましたが、続きはイベントまで待ってください。証拠固めをやっておきますから。
 
 それよりも、私は自分で「もしかしたら」と解明の糸をつかんだ気になったのが、第二の謎でした。いったいだれがジンベエを餌で手なずけたのか?
 じつは、前回と違い今回は透明度がだいぶんよかったことと、多くの観光客がジンベエ様以外の光景にまったく関心を持たなかったこととが幸いして、私は謎を解く手がかりをつかめたのです。
 注目したのは、ジンベエの周囲を取り巻いている小魚たちでした。まず、ジンベエの腹側にはたくさんのコバンザメが付いています。これ、ジンベエのベビーと間違えて、おかあさんのおっぱい吸ってましたという人がいるそうですが、まるでちがいます。
そのただ乗り魚をざっと観察すると、大半は細長いコバンザメですが、すこしずんぐりしたクロコバンという種もおります。第一回「うおのぞき」に来ていただいた方はご存じでしょうが、私が奄美大島で夜間のプランクトン採集をしたとき、そのプランクトンを狙ってコバンザメの稚魚(約10cm)が入ってきたことをお話ししました。そうです、コバンザメもジンベエが好きなアミ類が大好きなのです。
 それがヒントでした。ほかに、プランクトンやらウンチやらの浮遊物を食べる魚種はおらんか?
いました、何種類も。すべて自宅で飼育した時の観察ですが、クロハギ属やテングハギ属はウンチやアミをたべます。前回のイベントでも、全身透明なクロハギの稚魚がやはりプランクトンネットに入ることをお示ししました。
そのほか、ツムブリなどのアジ類やらベラ、ブダイがジンベエの後ろにくっついていますが、圧倒的に個体数の多い一種がいました。グルクマです。
 
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            私たちもジンベエさんとコミュニケーションできました
グルクマはサバ属の食用魚ですが、大群で砂地の浜に押し寄せ、ものすごい芸当を見せてくれるので、私の一押し「オモシロ魚」です。見かけは「側線に沿った縞」のある魚(業界ではこれを縦縞と呼びますが、生きて泳ぐ状態とあまりにもミスマッチな呼び名なので、昔の魚類学者がもっと適正な名を思いつかなかったのかと探したら、この呼び方をみつけました)です。しかし、こいつがアミなどを食べる姿はジンベエ様よりもすごいのです。顎を外して顔面よりも口を大きく開け、鰓をこれでもかと張って、水を吸い込み、鰓で餌だけ濾しとるのです。写真をご覧ください。
この姿、いちばんジンベエと似てませんか? それが、ジンベエ海岸にゴマンといるのです。餌の種類も食べ方も同じ? だとすると……あ、ここらへんにしときますね。
答えはみなさんも想像してください。次回のイベントでお話しする予定です。
 
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        これがグルクマの食事風景、原則的にジンベエと同じ方法です
今回の取材旅には、うおのぞきの仲間であるSATOさん父子も同行し、なんだかわけのわからないちっちゃな生物を撮影しておりました。その内、小出しにしてくれると思います。私たちは夏までにもういちど、マニアックなワンダーを探しに海へ行く予定です。
 
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              ジンベエよ、永遠に。周りのグルクマもね!
あ、書き忘れるところでした。ジンベイザメじゃなくジンベエザメです、なんてことはどうでもいいのですが、江戸時代には「エビスザメ」と呼ぶ地域がありました。ジンベエと同じ餌を食べる小魚がグルクマ同様にいっぱい付いてくるのですね。それで、猟師さんがサバとかアジとかの思わぬ大漁にありついたわけです。それで、エビス顔に。
あ、この話は第二の謎のヒントになりすぎますね。では、ここらで。

前回は日本のパワースポット屋島をご紹介しましたが、今回はヨーロッパの有名なパワースポットであり、人気の観光地でもあるサンチャゴ・デ・コンポステラへの巡礼路をご紹介します。
 
何しろこの巡礼路、世界に知られた美食街、知られざるガウディの幻想建築など、などがあり、おまけにあの名画も見られる素晴らしい観光巡礼路なのです。ここで写真などを披露したいのですが、25日テレビで放送しますのでお暇な方は是非ごらんください。
 
放送後にこぼれ話やら、写真やらたっぷりと掲載いたしますので、お楽しみに。
 
『日本語カーナビ大活躍!気ままにCAR旅 PART3
~荒俣宏夫妻 サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の道をたどりスペイン横断~』
 
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お寒うございます。今日は日本の「大地力」とでも名付けたくなるような事象について、お話しします。
最近、全国でパワースポットに対する関心が高まっており、神社や寺がさまざまなパワースポット・リストに名を連ねるようになっていますが、信仰や伝承という由来はさておいて、いったい世界的にどういう場所がパワースポットと呼ばれるのか、調査を始めています。きっかけは、四国の屋島を調査したことでした。
 
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  上: 四国、讃岐の屋島  下:同じく、そばにある壇ノ浦
 
 
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世界を見ると、どこでも聖地として通用するのは大地に驚異の現象が刻印された部分があるところ、ということになるようです。たとえば、オーストラリアならエアーズロック、アメリカ合衆国なら西部劇の舞台でおなじみモニュメントバレーや岩肌が彫刻されたかのように削られたアリゾナのセドナ。ドイツならエルベ渓谷のとんでもない奇岩群「バスタイ」。近くならフィリピンのボホール島で見られる、これまた気絶するようなコーン型の山の大集団「チョコレートヒル」など。
 
 
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上:エルベ渓谷「バスタイ」下:フィリピン・ボホール島のチョコレートヒル
 
 
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どこも地球の地形造形力はものすごいと思わずにいられません。このパワーを浴びたくなるのは、生物の本能みたいなものでしょう。
私たちが住む地球は、年齢がおよそ45億年。そのあいだずっと、火山の爆発や風雨の浸食で地球の眺めが絶え間なく変化してきたわけです。ときどきは、こんな奇跡的な風景がどうして造れたんだ、と思うような「奇観」も誕生し、私たちの先祖はそれを神や精霊が宿る「不思議な力のある場所」、すなわち聖地とあがめたのですね。
でも、正直なところ、ここまですごい地形なんて、日本にはないだろうな、と半分あきらめていました。ところが、ひょんなことで、四国は讃岐にある聖山「屋島」がパワースポットらしいので調べてほしいと頼まれました。源平の合戦があった歴史的に名高い場所ですが、これが「島」なのか「山」なのかすら、深く考えたことがありませんでした。でも、あまり期待せずに案内していただき、いろいろ調べたところ、驚くべき事実にぶつかりました。
 
屋島はエアーズロックやセドナなど外国の大パワースポットと同じ力が大地に働いた地形だったのです。大昔、この一帯には火山があり熔岩を噴出していました。それもかたい熔岩で、柔らかい熔岩が流れ落ちて扇型になった富士山のようなタイプとちがい、上の方が巨大な塊になるのです。川や海、あるいは風雨がこの地層の下の、柔らかい部分を削り取って、固い岩塊を頭に載せたような、切り立った構造物を作ったのです。チョコレートヒルも熔岩とサンゴ礁の違いはありますが、同じプロセスでできあがった場所です。
 
さっそく屋島に登り、地形と生物などの関係を調べました。そして、調査を忘れて、とりこになってしまいました。あの屋根をかぶせたような独特の島、いや山は、まちがいなく「メサ」と呼ばれる、日本にあまり類のない自然の傑作でした。屋島の周辺には、このメサが生んだ奇岩や山が群立してもいました。
メサとは、長い時間かかって自然が彫刻した壮大な「残丘」と呼ばれる地形です。火山活動などで上を被われた地層が、下の柔らかい地層だけ風や水に削られ、不思議な台形やキノコ形になったもの。その神秘的な形に、人間は精霊の存在を感じ、その聖地のそばで文化や文明を生みだしてきたのです。
久しぶりの風水的驚きです。今の私は屋島に好奇心を燃やしています。ここは地形から見ても「ヴォーテックス」すなわちパワースポットなのですから。つまり、屋島は第一関門ともいえる自然の力が途方もない形で働いた混成です。これから何度か通い、屋島の秘密を探ってきます。古代人も源平も、この屋島の地質学的な驚異を感じて、古くから聖地としてきたのですね。
そうそう、甘党の私にはもうひとつうれしい発見がありました。屋島の入り口に「わらや」という讃岐うどん屋があります。大きな器で豪快に出てくるうどんもすごいですが、あがりには飛び切りうまいお萩を食せるのです。このお萩東京ではお目に掛かれない不思議な美味しさでしたので、6個テイクアウトしました。
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